大量創作、大量消費

ぼく、創作のなんなのさ

人間椅子(角川ホラー文庫) /江戸川乱歩

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没後50年ということで、最近何かと盛り上がっている江戸川乱歩

その関連でやっていたNHKアーカイブスだかの番組を偶然見た。そこで一部引用されていた『人間椅子』の文を読んで「ウオオ!すげえ気持ちの良い文!」と思い衝動買い。

自分にとっては「名前は聞いたことがあるが読んだことが無かった」作者の一人である。(ぶっちゃけ読書経験値がほぼ無に等しいので有名近代文学はほとんど手を出せていないのだが…)読もう読もうと思っていながら手が出せていなかったので、NHKさんには感謝である。

 

 

久々に当たり(?)と言うか、えらく自分にハマる作者に出会えたと思った。

いやあ、良い。この本に収録されている話を読む限り話のほぼ全てが「誰かに話を語りかける」形で書かれているのだが、これがよく頭に入ってくる。

語り口調であり丁寧語の文が、怪しく耽美、奇抜とも言える話の魅力を何倍にも引き出している。

 

これを読んでいたのは電車の中であったり空港のロビーであったり静かとは言えず集中して読書に耽ることができなさそうなのだが、話に引き付けられて次々と読んでしまった。

 

乱歩は探偵小説も書いているだけあって短編でもトリックや犯罪の種明かし?が絡めてあって驚いた。推理小説をあまり読まない自分でも、「いや…それはないだろう」と思える部分があったが、最近のものが理詰めされすぎているだけかもしれない。

 

この文集で私的にヒットしたのが『鏡地獄』『目羅博士』『お勢登場』だろうか。

どちらかと言えば幻想的であったり人の狂気を描いたものの方が好きらしい。

鏡地獄は良かった。昨今だと「~フィリア」で片づけられ、キャラクターの一要素として消費されてしまいそうな部分を、これだけ濃密に事細やかに描写したのは凄い。読了後鏡を不思議と見つめてしまった。

目羅博士は最初はキャラ萌え的視点で読んでしまっていたのだが、月の光の妖しい描写にもうね、やられた。冒頭で出てきた猿の話が繋がったのも驚いた。

 

角川文庫版の良さといえば、大槻ゲンチの解説だろうか。分かりやすく乱歩の魅力を箇条書き(?)してくれた。

 

今回は表題作の『人間椅子』が読みたくてこの角川版にしたのだが、次はどうしようか迷っている。結局全部読むのならいっそ全集でいいのか。

某所のレビューによるとこの角川文庫版は、乱歩の怪奇小説を主に集めているそうなのでこっちでとりあえず読んでみるのもありかもしれない。